製図試験は、学科試験のように知識をただ暗記すれば合格するのではなく、
課題内容等から判断して知識を引き出せる技術が必要な試験である。
当社では、設計製図試験の学習システムLink&Study methodを採用している。
情報をそのまま受け取らず、必ず自分の頭で一度変換する
※ Link&Study methodより引用
当社では、知識を「課題内容等から判断して知識を引き出せる技術」へと引き上げるために、
三段階に分けて積み上げる学習方式を採用している。
第一段階と第二段階は、一つ一つの知識(点)を身につける学習である。
第三段階は、その知識をつなげ、建築計画として使える技術にする学習である。
第一段階:知識を体現的に理解する読み込み
一つは、計画の要点等の記述問題で、過去問題の解答例を丸暗記することだ。
理由や意図も理解せずに、答えだけを覚えても、後の段階で通用しない。
もう一つは、逆方向の誤りで、知識の深掘りのしすぎだ。
一つの点について必要なのは、全体構成につながるための知識だけで十分なのに、
その1点に対して専門的なことまで掘り下げてしまう。
建築士試験では、そこまでの専門性は求められていない。
深掘りに時間を使うほど、全体を組み上げる学習が遅れ、かえって合格から遠ざかる。
理解とは、深さを追うことではない。建物全体として機能する仕組みの中で、その知識がどう位置づくかを掴むことだ。
初めて作図する段階で、解答例を見ながらトレースし、何をどう描くべきかを理解することは有効だ。
これは第一段階として正しい使い方である。
しかし、その後の「作図時間を短縮するための練習」として、同じ図面を何度もトレースするのは意味がない。
なぜなら、本試験では自分が計画したエスキスをもとに作図するから練習と異なる。
本来必要なのは、作図の手順や、定型となるパーツ(階段・便所・什器など)を思い出す時間を極力なくし、
手が止まらずスムーズに描ける状態を目指すことと、
エスキスマニュアルに基づいた計画パターンを活かした作図トレーニングだ。
ところが同じ図面を何度もトレースしていると、トレースする「内容」を記憶して、
所作の改善等を考えずに描く事だけに意識がいく。繰り返せば速くなってくるが、
計画が変わる本試験では再現できない。量を増やせば時短トレーニングとなるが、課題発表後から本試験迄は、
限られた学習時間しか与えられておらず、エスキスなどの習得時間が足りなくなる。
第二段階:反復によって、理解した知識を記憶に定着させる
第三段階:定着した知識を、計画と一致した形で使えるようにする
製図試験では、「理解して、覚えている」だけでも、まだ足りない。
ここが、当社の学習で最も重要な部分だ。
知識を保持していることと、その知識を本試験で求められる形で運用できることは、別の段階である。
キーワードは言える。手順も暗唱できる。
しかし、いざ自分が計画した図面を前にすると、
その知識を計画と結びつけられない——多くの受験生が、ここでつまずく。
製図試験で本当に求められるのは、エスキスの手順・作図の工程・計画の要点を、
自分が計画した内容と一致した形で使えることだ。
定着した知識を、その場の計画・条件・出題の意図に合わせて引き出し、
答案全体と矛盾しない形で反映できる状態にする。
これが第三段階である。
例えば計画の要点で「アースチューブを設けた」と書くなら、
平面図・断面図にアースチューブだけを描けばよいのではない。
アースチューブによって外気を引き込み、
その外気を活かす空気調和設備の計画まで一致していなければならない。
よくある暗記だけの失敗例では、アースチューブを機械設備と誤解釈してアクティブ技術として扱ってしまう。
あるいは、アースチューブは描いてあるのに、
それに接続する空気調和設備が存在せず、
屋上に室外機を設けた空冷ヒートポンプパッケージ方式の天井カセットタイプとしてしまう。
これでは、設備の仕組み・計画内容・記載方法の三点が一致していない。
アースチューブは、地中熱を利用して外気を予冷・予熱してから取り込むパッシブな外気導入の手法だ。
本来は、地上階付近に空気調和設備があり、
その外気導入の方法としてアースチューブを採用するかどうかが検討される。
つまり、引き込んだ外気を受けて処理する空気調和設備とセットで初めて成立する。
設備の仕組みを理解していれば、アースチューブだけが宙に浮いた計画にはならない。
暗記したテキストや解答例を、そのまま書いても、
自分の計画と食い違っていれば、それは知識を使えていないことになる。
本試験の合格基準にあるように、
建築士としての知識及び技術を有しているか判断している事を考えれば、
このような状態で試験に臨むと不合格のリスクが残る。
覚えていることと、計画に活かせることは違う。
当社が目指すのは、後者だ。
この学習でも、回答用紙に暗記した文章を書くことはできる。書いている内容自体は誤りでもない。
しかし、自分が計画した内容が、今回求められている内容の意図を汲みこんでおらず、重大な誤りとなり、知識不足を露呈する。
本試験は建築士としての知識および技術を確認されている。知識不足は不合格となる危険性が高い。
誤解しないでほしいのは、過去の出題内容の解答例を知ること自体は良い学習だということ。
問題は、その使い方にある。解答例を読み、理解できない点が出てきたとき、それをそのままにしないこと。
言葉の意味や設備・計画の仕組みまで理解したうえで、次は自分の計画として使いこなせる状態にまで引き上げる。
ここまで到達して初めて、解答例は丸暗記ではなく、生きた知識になる。






















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