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一級建築士設計製図試験オンライン講座なら、高合格率・少人数制のプラスデザインへ。

初受験生・再受験生問わず、エスキスから製図まで個別添削と面談で徹底サポートします。

「時間が足りない」「集中力が続かない」——それは才能の問題ではありません。

脳の使い方を変えれば、2時間30分は「走り切れる時間」になります。この記事では、なぜエスキスが行き詰まるのかを脳の特性から解説し、走り切るための設計を説明します。

あなたはいま、脳を使いすぎている

エスキスの途中で手が止まる。頭が疲れて判断できなくなる。最後の方は半ばあきらめながら進めている。こうした経験がある人に、まず知ってほしいことがあります。

それは「考えなくていい場面でも、考え続けてしまっている」ことが、行き詰まりの大きな原因になっているという点です。余計なことを考えているのではありません。本来は手順通りに進めるだけでよい場面でも、そのたびに判断しようとしてしまっている——これが脳を早期に消耗させます。

脳には2種類の動作モードがある
——直感と熟考

認知心理学者のカーネマン、またEvansとStanovichらの研究は、人間の認知を「自動的・高速な処理」と「意識的・努力を要する処理」の2層構造で説明しています。日常語に置き換えれば、直感と熟考です。

図1|直感(System 1)vs 熟考(System 2)
速い思考 / System 1
直感
Intuitive Thinking
処理速度高速・自動的
認知負荷低い
典型例手順の実行・確認
作業記憶ほぼ不要
エスキスでは「作業」
遅い思考 / System 2
熟考
Deliberate Thinking
処理速度低速・意識的
認知負荷高い
典型例比較・判断・優先順位
作業記憶強く使う
エスキスでは「思考」

左が「考えなくても動く処理(直感)」、右が「意識して考える処理(熟考)」。エスキスはこの両方を使い分けることで成立しています。

直感は経験によって磨かれた自動処理であり、ほとんど努力を必要としません。熟考は選択肢を並べ、条件を照らし合わせながら進める意識的な判断です。作業記憶と認知制御を強く使うため認知負荷が高く、連続させるほど脳のリソースを消費します。

エスキスでは、直感と熟考の両方が必要です。問題は、どちらをいつ使うかを整理できているかどうかです。

多くの受験生がやってしまっていること

図2|時間軸 × 認知負荷の変化(悪い例 vs 良い例)
開始30分60分 90分120分150分
❌ 行き詰まるパターン(ずっと熟考)
✅ 走り切れるパターン(切り替え)

「なぜ中盤で急に失速するのか」を見える化した図です。2本の線の分岐点に注目してください。

❌ 行き詰まるパターン
全工程を「考えながら」進めている。本来は手順化できる確認作業でも、そのたびに「これでいいか?」と判断している。結果、熟考が途切れなく続き、中盤以降に判断の質が急激に落ちる。
✅ 走り切れるパターン
「作業(直感)」と「思考(熟考)」を工程ごとに明確に切り替えている。手順が決まっている部分は迷わず進め、判断が必要な場面だけ深く考える。認知資源が温存され、終盤まで判断の質を保てる。

「作業」と「思考」を分けるとはどういうことか

図3|本試験工程※概略※(作業・思考フェーズの色分け)
作業(直感)
条件の
読み込み・整理
思考(熟考)
立体構成
の検討
作業(直感)
ゾーニング
プランニング
思考(熟考)
計画の要点
特記事項等の反映
作業(直感)
作図
作業フェーズ(直感):手順通りに進める
思考フェーズ(熟考):比較・判断する

色分けされたブロックが、どの工程で直感的な「作業」を使い、どこで熟考としての「思考」に切り替えるかを示しています。

作業フェーズ(直感を使う)とは、順番と確認項目をあらかじめ決めておき、その通りに処理する工程です。毎回ゼロから悩まない。「決めたルールに従って動く」だけにする。認知心理学ではこれを automaticity(自動化) と呼び、反復練習によって意識的な負担を下げながら処理できるようになります。

思考フェーズ(熟考を使う)とは、選択肢を並べて比較・判断する工程です。どの要求室をどこに置くか。どう構成すれば無理がないか。こうした場面では作業記憶と認知制御が強く求められるため、ここにリソースを集中させる価値があります。

切り替えのポイント:これはマルチタスクではありません。
「同時にあれこれ処理する」ことではなく、「工程ごとに使う脳の種類を切り替える」ことです。直感と熟考を同時に動かそうとすると、むしろ負荷は増します。あくまで「今は作業(直感)」「今は思考(熟考)」と、一時点で行うことを一つに絞るのが核心です。

2時間30分を走り切れる理由

持続的注意の研究では、同じ種類の課題を続けると注意の質が低下する(vigilance decrement)ことが示されています。この低下は条件によっては比較的早い段階から始まり得ると報告されています。つまり、集中力を最大限に発揮できる「熟考のゾーン」は、思いのほか長くは続かないということです。

図4|負荷の濃淡リズム(直感と熟考の交互切り替え)
作業
思考
作業
思考
作業
思考

直感(作業)と熟考(思考)を交互に切り替えることで、高負荷な状態を分散させるリズムが生まれます。平坦に高い線ではなく、波があることが重要です。

当社のエスキスマニュアルが目指しているのは、根性で集中力を延ばすことではありません。工程の中に「負荷の濃淡」をつくることです。

直感で進む作業フェーズ
熟考で判断する思考フェーズ
また直感に戻す作業フェーズ

この繰り返しが、脳の消耗を抑えながら2時間30分を完成まで繋げる構造を生みます。

まとめ——2タイプの2時間30分

図5|「ずっと熟考し続ける人」vs「直感と熟考を切り替える人」
❌ 行き詰まる人
全工程を熟考し続ける
0〜30分
30〜60分
60〜90分
90〜120分
120〜150分
→ 中盤で失速・終盤は消耗
✅ 走り切れる人
直感と熟考を工程ごとに切り替える
0〜30分
30〜60分
60〜90分
90〜120分
120〜150分
→ 終盤まで判断の質を維持

「ずっと熟考し続ける人」と「直感と熟考を切り替える人」の2時間30分の判断品質を並べて比較しています。

エスキスを走り切れる人は、
ずっと深く考え続けているわけではありません。

直感で進められる場面を「作業」に落とし込み、熟考が必要な場面だけ「思考」に切り替えている——それだけです。
これは精神論でも才能論でもありません。脳の特性に合わせた、合理的な工程設計の話です。
そしてこの設計は、具体的な工程の順番と判断基準として、当社のエスキスマニュアルに落とし込まれています。