「エスキス1時間でできた」「自分は2時間で終わる」——こうした言葉を、試験会場周辺や学習仲間の間で耳にしたことはないだろうか。しかしこの比較には、決定的な前提の欠落がある。エスキスの”完成の定義”が、人によって全く異なっているのである。完成の定義が違えば、かかる時間の比較に意味はない。本記事では、合格に直結するエスキスの「正しい完成」とは何かを定義し、そこへ到達するための学習ステップを示す。
時間を誇る受験生ほど、落ちる
初めに、よくある光景がある。
「エスキス1時間でできた」「自分は2時間で終わる」
時間だけを競い、他の受験生に圧をかけながら競り合う受験生。
しかし、ここには決定的な前提の違いがある。
エスキスの”完成の定義”が異なっている。
完成が異なれば、かかる時間も全く異なる。同じ土俵で比較できるものではない。
それにも関わらず、時間だけを切り取って競うこと自体に意味はない。
実際に合格している受験生の多くはその層ではない。
合格しているのは、適切にエスキス時間を確保し、完成させた受験生である。
エスキスの完成とは何か
受験生によって、エスキスの完成状態の定義が異なる事もあるが、ここでは、「正しい」エスキスの完成を具体的に示していく。
エスキスの完成とは——作図で考えたり、やり直す事がない状態。
作図で考えず、やり直すことがない状態とは何か
要約して言えば、規模と配置が確定した状態。
規模の確定とは
規模とは、単なる面積ではない。
・平面形状→X軸・Y軸の数値(スパン長さ等)・面積→X×Y=S・立体形状→Z軸の数値(階高等)・面積
これらすべてが決まっている状態。
一つでも曖昧であれば、作図中に必ず思考が発生する。
配置の確定
配置とは、位置関係の完全決定である。
・屋外施設と建物↑・建物内 ・廊下 ・コア(階段・EV) ・吹抜け ・各シャフト ・屋根 ・部屋 ↑・部屋内の什器
ここまで決まって、初めて完成と言える。
エスキスの完成を知り、次の段階を学習する
ここまで理解して、初めて次に進む。エスキスの完成時間は2時間30分『程度』が合否のボーダーとされる。1時間30分程度で、正しいエスキスの完成ができる課題もあるが、簡単な課題、難しい課題、どのような課題でも2時間30分程度以内で、仕上げなければならない。次の段階は、どのような課題でも2時間30分程度以内で、正しいエスキスの完成ができることである。
そのための学習方法として、
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1
自分のエスキスが完成しているかを判断できるようになる。
・どこが未確定か・どこが曖昧か
これを自分で検出できるかどうかが、最初の学習である。学習方法は、自分の完成させたエスキスを規模と配置の観点で確認する事である。もちろん、建蔽率や容積率、高さ制限から重複距離等の法不適合が無いかの確認・要求室の規模などの明記されている条件違反が無い事は大前提である。
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2
楽をする為の工夫を行う。
ここで言う「楽」とは、省略することでも手を抜くことでもない。思考を繰り返し訓練した結果として、判断プロセスが自分の中に定着し、迷わず動ける状態に到達することである。
具体的には、毎回同じ工程で描く「自分自身の計画の型」を持つことで、一から考える量を減らすことができる。この型は、繰り返し練習の中で精度を高めながら定着させるものであり、最初から省略するための型ではない。
型が定着した状態では、熟慮の末に下した判断を、高速で実行できるようになる。これがエスキスにおける本当の「楽」である。
なぜできて当たり前のことができないのか
これまでの内容は、専門的な技術も必要なく、難しくない。むしろ、できて当然のこと。
しかし、練習になると、人は簡単に手を抜く。
面倒な検討を後回しにし、曖昧なまま先へ進む。試験本番に直結する課題で無いから。自分は「完成したエスキス」を作っていると思い込んでいるから。
結果、本試験でエスキスを、『必ず』時間内に完成する状態に届かない。
どうすればエスキスを完成できるようになるか
答えはシンプルで、『きちんとやり切る』だけ。一度だけでなく、『身につくまで何度も反復練習』するだけ。
繰り返すうちに、手は速くなり、
迷いは消える。
そして結果として、合格できる状態となる。
