一級建築士事務所プラスデザイン株式会社

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令和三年度 一級建築士製図試験の講義を終えて

昨年及び今年も、個別指導と資格学校にて一級建築士の製図試験の資格講師に携わらせて頂き、
先日試験が終了しました。今年は学科試験終了からの指導でしたので、
3か月の長いようで短い期間でしたが、資格学校では教室長を担わせて頂き、
ほぼ連日、資料作成や解答例等を作成しながら登壇していたので、例年より解放感を感じています。
本年度は課題が集合住宅とシンプルな発表だったため、色々と想定される課題内容を練りましたが、
容積率と要求室面積とのバランスを考えた延床面積の検討があり得ると指導していた点が出題されたとのことで、
生徒から感謝の言葉を頂いて少し報われた気分になりました。

昨年と同様に今年もコロナの関係で採点会を実施する事が出来ないのですが、
今年の試験は要求室が少なく、エスキスに時間を要さなかった受験生が多く完成度は高く、
法規制等の注意すべき点はありましたが、試験難易度は基本をしっかりとマスターしていれば、
十分にやり遂げる事が出来たという印象でした。

課題のポイントは、
1敷地条件にて駅につながる道路と歩道の無い道路から、どのようにアプローチを考えるか
2上階の住宅部門の配置。
3基準階と2階の建物形状が不整形でないか。
4共用室や屋上庭園が、住戸内のプライバシーに配慮した配置になっているか
5テナント部門などの異種用途区画、面積区画や竪穴区画、屋内消火栓設備の計画が必要。
6各住戸の居室は、通風や採光、遮音など「よりよい住環境」を考慮した計画&在宅勤務を考慮したスペースの計画。
7約400㎡の空間を要する学習塾の配置
8ゴミ収集動線や電力会社の受変電設備を設置する電気室、その他の設備等、更新やメンテナンスに配慮した計画
9道路斜線制限等をクリアした建物形状(屋外階段・庇・バルコニー)

1敷地図周辺からの人や車の動線を描いてみる事を指導してきましたが、
素直に読み解けば、歩道の無い道路から駐車場へのアプローチで歩車分離を行い、
駅につながる歩道付道路は「動」のテナント部門出入口を設け、住宅部門は駅からの動線を考えながらテナント部門と分けた出入口と
駐車場から入れるサブエントランスを設ける計画になります。建物内の通り抜け出来る通路の計画はオリジナル課題でも練習していただきましたが、
通路を計画する事でプランがきれいに収まらなく難易度が上がります。来年度受験される方は、早めに練習して慣れておくことをお勧めします。

2東西に住戸の主要な居室の窓を設ける計画も正解ですが、賃貸の入居率を考えて日照時間の長い南側からの採光を取り入れる計画を行う場合は、
南側の店舗付集合住宅(隣地境界線から5mくらい離れている。)を考慮して、南側1スパンを空ける等の配慮が必要と考えられます。
今回は基準階及び2階住戸階が全て南側に配置する事が容易で、短辺も3スパンあれば十分収まることから、南側に配置した方が多かったようです。

3&4住戸配置にて、住戸数が「以上」となっており、増やしても良いという点(収益率も上がりますので。)に気づくこと、
また、住戸階はL型や凹型にすれば中庭空間をつくることができ、共用室や屋上庭園を必ず南に設ける必要が無いと柔軟に考えれば、
上下階も不整形にならない計画は可能でしたが、少々の不整形は全く問題無く再現図を見せて頂いた生徒のほとんどは問題ない形状でした。
ちなみに、トップライトの計画は毎回オリジナル課題の解答例で設けていましたので、解答例も計画しました。
屋上庭園を南側に配置するのは正解ですが、屋上庭園から各住戸の居室が覗けたり、屋根を渡って侵入できるような計画はよろしくありません。

5&6異種用途区画や屋内消火栓設備、よりよい住環境についてはオリジナルマニュアルにも記載している通りで、しっかりと対応出来たと思います。
7は、オリジナル課題2で小さな借室を配置した500㎡程度のコワーキングスペースで想定していましたが、学習塾も同様に1/1000程度のエスキス計画で、
空間を確保しておけば、それほど難しくなかったかと。今回の課題は集合住宅なので、ランクⅣにはならないと思いますが、
教室等の利用者居室は、換気等も考慮して窓を設ける配置を考えます。

8他の資格学校では、管理動線を気にしない計画をした解答例を見ますが、課題でも設備の機器メンテナンスや更新に配慮した計画、
また今回はゴミ収集について特記事項で記載されていますので、管理ゾーンの計画もしっかりと行うべきです。
カフェや学習塾のゴミ収集は、各テナントスタッフが営業時間終了後にゴミを道路側に置いておき、別途契約したゴミ収集業者が、
毎日深夜に収集する事が想定されるため、テナント部門のゴミ置き場を設けなくても問題無いと思われます。
もちろん、テナント部門のゴミ置き場を設ける事も正解です。

9今回の課題は、道路斜線制限等の法規制をクリアした建物ボリュームを検討していても、計画中に屋外階段や持ち出しバルコニーを出してしまい、
ランクⅣになる生徒が非常に多かったです。オリジナル課題2では道路幅員4mの斜線制限を考慮して基準階をセットバックさせる等、
試験よりも難易度の高い課題を取り組んで頂いたせいか、ランクⅣは回避出来ているという声がほとんどでした。
本試験でも同様のミスが無いよう、最終講義にて持ち出しバルコニーや屋外階段を計画してはいけない
範囲を明示した敷地図を描いておくように指導しました結果、試験でミスに気付いて修正できた生徒も居ており、
些細なミスで来年もう一度とならなく良かったと胸をなでおろしております。

記述対策は、マニュアルからほぼ全て対応出来ていたため、講師側としては大きなヤマは毎年当てる事が出来ていませんが、
受講いただいた皆さんが、無事合格するように祈っています。お疲れ様でした。