「わからない」の正体を特定しない学習は、不合格一直線である
——「判らない」「分からない」「解らない」、あなたのわからないはどれか
そこで必ず起きることがあります。「わからない」
わからないのを放置して、人任せに答えだけを求める。何も自分で調べず、考えず、「わかりません」と質問だけ投げる。そもそも「わからない」原因を大別せずに進む。
これらの学習行動には共通した欠陥があります。「わからない」の正体を特定していない、ということです。
Section 01
「わからない」は一種類ではない
漢字が違うと感じたことがありましたか。日本語の「わからない」は、漢字で書くと三種類に分かれます。この三つは見た目は同じでも、学習上の問題の所在がまったく異なります。正体が違えば、当然、対処も違います。
どれがどれか区別がつかない状態
例:ラーメン構造と壁式構造の選択
全体の地図がない状態
例:エスキス手順の全体像
受動的な学習で止まっている状態
例:条文は引けるが意味を説明できない
Section 02
「わからない」の正体を特定しない学習が失敗する理由
この三分類の重要性は、教育心理学・認知科学の研究によって異なる角度から支持されています。
「わからない」の正体を自分で特定することが
学習改善の唯一の入口である
↓ この結論を、3つの研究が異なる角度から支持している
有効なフィードバックには「何がわかっていないかの正確な把握」が前提。約80万人・800以上の研究を統合したメタ分析。
→ 正体不明のまま答えを求めても根本解決にならない放置・人任せ=システム1(自動・省エネ)の反応。正体を問い直す=システム2(熟慮)の介入が必要。
→ 合格者はシステム2を意識的に使い続けているメタ認知:自分が何をどこまで理解しているかを把握する能力。メタ認知が高い学習者は次の行動を自分で設計できる。
→ 正体を特定できる=メタ認知が高い学習者「わからない」の種類を特定しないまま、ただ答えを教えてもらうことを繰り返すと何が起きるか。その答えが正しくても、なぜそうなるかが理解できていないため、また別の場面で同じように「わからない」が訪れます。「わからない」を繰り返すうちに思考を放棄し、「自分には無理だ」「苦手だ」として考えることをやめてしまいます。
せっかく受験申込を済ませ、前向きな気持ちでスタートしたものが、この繰り返しによって静かに消えていくのです。
だからこそ、「わからない」を正しく自分の言葉で相手に伝えられるように、まず自己分析することが強く求められます。自己分析は、相手への正確な伝達のためだけでなく、自分自身の思考を整理し、次の行動を自分で設計するための基盤になります。
Section 03
自分の「わからない」を特定する——3つの問いと対処法
「わからない」と感じた瞬間に、次の3つを自分に問います。①から順に問いかけ、「YES」と思えた問いが、あなたの「わからない」の正体です。
「わからない」と感じた——自分に3つの問いを投げかける
この3つの問いは、「わからない」という感覚を学習上の具体的な課題に変換する作業です。これを行わずに「わかりません」と投げることは、「体のどこかが痛いです。何の薬を飲めばいいですか」と医師に告げるようなものです。部位も種類も特定しなければ、適切な処方は出せません。
Section 04
「わからない」に向き合う学習者だけが伸びる
受験申込を終えて学習を始めたとき、「わからない」は必ず訪れます。それは、学習が進んでいる証拠でもあります。問題は「わからない」が訪れることではありません。それを放置するか、向き合うかです。
「判らない・分からない・解らない」のどれかを特定することは、10分もあればできる作業です。しかしこの10分を省いた学習は、何時間積み上げても根本的な問題が解決しません。
「わからない」の正体を特定し、自分の言葉で相手に正確に伝えられる状態にすること。それが、受験申込後に最初にすべき学習の姿勢です。
